知っていて欲しい病気のこと②　～停留精巣～

こんにちは、獣医師の福永です。
普段の運動不足のせいか、
スタッフとバトミントン大会を行った際の
後遺症（筋肉痛）にヤラレておりました。
少し遅れ気味で・・・
ヒトも動物も、健康のためには適度な運動が必要ですね

さて、今回は男の子の病気「停留精巣」についてお話します。

病気と言ってしまうと少し言い過ぎかもしれませんが、
男の子の精巣が、正常な位置・陰嚢の中にない状態のことです。

ワンちゃんネコちゃんの精巣は生まれた時にはお腹の中にあり、
正常では、生後8週ごろまでに陰嚢の位置に移動してきて
触って確認できる状態になります。

正常に陰嚢まで移動していない精巣は停留精巣、または陰睾と呼ばれ、
内股の部分（鼡径部）またはお腹の中（腹腔内）に留まっています。
停留精巣は両側よりも片側のみでみられることが比較的多くあります。

停留精巣だと何がいけないか？

停留精巣が一番問題になるのは、お歳をとってから腫瘍になりやすいことです。
男の子の病気の中で精巣腫瘍は比較的多くみられますが、
停留精巣での腫瘍の発生率は、正常な位置の精巣に比べて
約13倍との報告もあります。
さらに、腹腔内停留精巣が腫瘍になった場合、見たり触ったりできない場所なので、
相当進行するまで分からないという問題もあります。
これが悪性の場合には、命にかかわる重大な病気です。

また、停留精巣は遺伝性の病気です。
停留精巣に正常な機能はなく、精子を作る能力は全くありませんが、
片側停留精巣の子では、正常に陰嚢にある方の精巣は生殖能力があり
交配が可能です。
この病気は遺伝するので、原則交配させないでください。

治療としては、お薬で治る病気ではありませんので、
去勢手術が最も勧められる治療となります。

停留精巣に気づかれた場合はスタッフにご相談ください